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【明石邦彦のつぶやき】発酵分野OB会 |
2025/12/2 |
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毎年行われる味の素発酵分野のOB会に参加した。私は杖をついての参加である。参加された皆様が杖を持っていないことに驚いた。脊柱管狭窄症の人がいるはずなのに・・・。さぞかし杖がないと不便だろうと思った。
さて、いつものように鬼籍に入った人の黙祷から始まる。今年は6人も数えた。皆さん80代の人が多いので、亡くなる数が増えるのは当然であろう。私だっていつ召されるかはわからない。最高齢の参加者は88才の3人だ。一人は娘さんが心配だからと付き添ってくれての出席である。私が動けなくなったら、車椅子参加となる。妻も同様の状態であろうから手伝いが必要だ。法人の石井理事長さんにでも頼むかなと思ったりした。70名程度の名簿を見ていると「動けなくなった」や「奥様の看護だ」という理由で欠席する方が3割を超える数字である。OB会のメンバーに高齢化の波は遠慮無く訪れていることは明瞭である。黙祷、乾杯が終わり、会食となった。3つのテーブルに分かれての近況交換である。私の右隣に座った人は研究所から営業に転身した人である。私との昔の出会いを話されたが、どうしたわけかすぐに思い出せないでいた。話を聞いてみると研究室の同僚と大阪支店を訪ね、夕食をごちそうになったそうである。確かに大阪支店に顔を出したことが思い出された。何でも同僚がその方と親しかったので、訪れたようである。自分の意思で決めたのではないので、飲み食いしたことはすっかり忘れていた。恐縮しながら考えてみると大阪の中之島で開催された発酵工学会に出席した際にお世話になったのであろう。ごみごみした大阪支店の記憶はあるので、間違いないだろう。また、その方は補聴器を使われていた。突発性難聴の知識もあるので話が弾んだ。使っている補聴器は何でもスイス製で65万円した高級品だそうだ。麻生太郎氏は70万円だそうだ。この補聴器分野は日本が遅れを取っているとお話しされた。隣のテーブルで声高に話をしている人が目立った。声高の原因は耳が遠くなっているので、声のボリュウム調整ができないのだと意見が一致した。また、左横には虫に趣味があり、ずっとお付き合いしている人である。京都大教授であった父親が集められていた虫(蝶に限らず)や文献を東京農大が引き取ってくれたそうである。うちの兄の標本も早く寄付しないと標本がだめになるのではと思った。姪が九大農学部の三枝先生の話をしていたがどうなったのだろう。虫友の緒方先生にも標本どうするのか聞いてみようと思った。
更に、難病の間質性肺炎を漢方薬で克服した人がいた。義兄を間質性肺炎で亡くした私には驚きである。今は寛解の状態であろう。この方は脊柱管狭窄症でもあるが、手術はできないそうだ。間質性肺炎であるから酸素不足の心配があるのであろう。先生から「残りの人生は少ないので、痛みとホドホドに付き合いながら人生を全うしなさい」と言われたそうだ。
なお、脊柱管狭窄症の手術に成功した人がいたので、病院のこと(保土ヶ谷)をお聞きすると何でも東大教養部の時に知り合った医者の縁でその手術に長けた先生を紹介されたそうである。「九大の友達はいないか」と尋ねられたが、「80才になると関東にそのような人はいない」と答えた。2人の例を聞くとそれなりの覚悟がいりそうだ。今お世話になっている整形外科の先生はあまり手術を勧めない。骨を削るということはそれだけ残りの人生に影響するからと考える。
会が終わり近くになってお世話になった元副社長さんが私の席を訪れた。少し、ボルテージが上がった発言であった。一瞬耳が遠くなったのではと心配した。会話の中で、若い人たちにチャレンジ精神、頑張りがないと嘆いておられた。これでは日本の地位が落ちていくのは自明だと話された。確かに我々の時代は発酵という分野で世界のトップを走ろうと言ってチーム全体が熱気を持って時間を考えず働いたものである。「Japan As No.1」の時代を作り上げたという自負はある。お互いにその点では共通の認識である。今の子供や孫の時代の覇気のなさ、やり抜くという強い信念のなさを嘆かれていた。確かにうちの法人を見ると先送りやチャレンジ精神がさっぱりだなと思うことがある。営々と築いてきたあおぞら共生会のDNAは根づいていないことを実感する。元副社長の言い分もよくわかるなと思った。新しい取り組みは苦労が多いけれど達成した時の喜びは何物にも代えがたいものであり、また、自分の成長を実感することができる瞬間でもある。
会話を通して、世の中に活気をもたらすのはチャレンジするという気持ちだと思う。言うばかりの番長で、実行できない体たらくでは世界から取り残されるということだ。常に勉強して新しい自分を作り上げていくことの大事さを実感したひと時であった。
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