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【明石邦彦のつぶやき】ナイチンゲールの統計学 |
2025/10/22 |
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毎日新聞のコラム(余禄)に統計学についての話が載っていた。ナインチンゲールが統計学を駆使して野戦病院での看護の報告書を作成し、英国陸軍の感染症対策に反映した話だった。また、政治家のトランプ大統領が統計学を無視して反地球温暖化を推し進めようとしていることを皮肉っていた。また、大統領が政府の統計部局のデータが自分たちに都合が悪いとして局長を解雇していたことも槍玉にあげていた。自国の統計の数値が見えないことには将来への打つ手が狂うことになるであろう。大統領が関税ばかりを強調しても国内の数値の変化を読み取れないと間違った政策に力を注いでいることにもなるであろう。ただ、私たちが注意しなければならないのは政治家が統計を作成する時の基準点を変更し、自分たちに都合の良いように改変して発表することである。こうなると長年積み上げてきた数値が意味を持たなくなる危険がある。アベノミックスが低成長ながら長々とプラスサイドに動いてきたのもそれなりの変更点があってのことだろう。
さてさて、看護師のナイチンゲールが統計学の先駆けとは面白いと思い、ネットで検索した。なんでもご両親は大富豪とのことである。新婚旅行で2人の娘が生まれたことになると3年ほどの期間が新婚旅行となる。こう考えるとナイチンゲール家は相当のお金持ちである推定される。ナイチンゲールは語学を父親から習い、論理的な文章を書く能力に長けていた。また、数学も自ら学ぼうとし、近代統計学のケトレの数学でデータ処理をやりたかったようである。お金があるので、超一流大学であるケンブリッジやオックスフォードの先生方から学んだと記されている。
有名なクリミヤ戦争に従軍し、野戦病院で兵士を看護することで、戦闘で負傷した兵士がその傷がもとで死ぬよりは不衛生な病院内での伝染病に感染して死ぬ兵士が多いことに着眼した。そして、英国陸軍の不衛生事態を改革するために、統計手法でビクトリア女王に説明したそうだ。数字という論理的な手法を駆使しながら、視覚的手法であるグラフ化という手法で、女王に理解してもらったようである。研究者がいまでは普通に使う手法(図)である。実際のデータが示されていたので、引用すると次の表と図となる。これでみると表の数字よりは円グラフの方が、感覚的に理解できる。表の数字では人を説得できにくいと感じた。40歳後半の頃、味の素でバイオ戦略作りに携わった時に、コンサルタントの方から会社役員が理解できるようなプレゼンの仕方を教わった。勿論図表を駆使しての説明である。逆に、コンサルタントの人はバイオには精通しているわけではないと実感した。あくまでもバイオの中身に精通しているのは自分たちであり、コンサルタントはあくまでも補助的な役割で、自分たちが主体的に取り組み、経営陣に理解しやすいように訴えて、私たちの意向に沿って動いてもらうことが大事であると理解した。その時の思いが強く、経営企画部在住は時間生産性を重視した。特に、多忙な社長と打ち合わせをする時、4分以内に趣旨を伝え、理解してもらい、動いてもらうように腐心した。総合技術会議や経団連の朝食会などでは社長に真っ先に発言してもらい、バイオの会議を主導していただいた。社長は発表後、後ろに控える私に「今の発言でよいか」と振り返られるシーンが度々あるので、私もその都度縦に頭を振るようにしたものだ。
さて、共生会の組織に立ち返ってみれば、上司や同僚の前でプレゼンする時はどのような資料作りが相手の理解に結びつくかを考えなければならないという習慣が身に付いていないように思う。まずはそれより前にデータをとって表や図を作り、自分の考え方をまとめる努力が職員には必要だ。数字を扱うことに慣れて、論理性を磨いてほしいと願うこの頃である。
出典:歴史上の偉人から学ぶデータ活用術
「ナイチンゲールに学ぶ7つの教訓」 丸山健夫氏
1.ナイチンゲール 2.表:ナイチンゲールの著書(左)と円グラフの元データ(右) 3.図:ローズ(中心からできる扇型の面積が死亡率の大きさに対応)
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