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【明石邦彦のつぶやき】終戦記念日に思う |
2023/8/24 |
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8月15日は78回目の終戦記念日である。あいにく台風7号の通過で全国戦没者追悼式への参列は直撃地点の代表の欠席もあったが、滞りなく終えることができた。しかしながら、78年もたつと戦争を知らない世代が増えて、戦争に対する緊張感や切迫感が失われつつあるようだ。当日、メディアではいつものようにいろいろな戦争体験が話されるが、岸田内閣での防衛費増大や日米韓の首脳会議などで北朝鮮、中国警戒論が議題にされると戦争のための舵が切られているように思ってしまう。戦後レジームからの脱却という言葉で舵を切ったのは安倍首相だと思うが、今や自民党は右より過ぎてバランスがとれていない。戦争の辛酸さをなめた80歳や90歳代の世代にとっては世の中が狂っているのではと思っていることだろう。9歳年上の兄はウクライナの建物が壊れているTV画面を見るたびに福岡大空襲での我が家や奈良屋小学校の焼け跡の様子を夢見るようである。体験した者だけがわかる戦争の悲惨さである。
さて、ウクライナとロシアに対して岸田首相が「戦争反対。早くやめよ」となぜ言えないのかと疑問に感じる。原爆を経験した日本人が仲介の労をとっても良いのではと思う。しかしながら、BSの夜の番組では詳細な前線状況や戦略などが話される。登場する専門家?などがもっともらしく話をするが、戦争というものが安易に理解されている(ゲーム感覚?リセット可能?)のではと思われる。終戦から2週間後に安心してこの世に誕生した私としては何とも理解しにくい雰囲気である。兄は私の母が身重ながらも空襲下であちらこちらを転々としたことを考え、「母は強し」と感心していた。この話からも戦争の悲惨さの一面が窺い知れ、庶民が生き延びることに腐心していた姿が慮られた。政治家も世襲世代や若い未経験者が国会に出てくると78年前の終戦も喉元過ぎた感がし、いまでは好戦的に思える。不戦の努力を軽く扱いすぎである。
高校の先輩の息子は台湾に出かけて、「戦う覚悟」までいい、中国を刺激している。計算された言葉との感もあるが、出来損ないの息子の発言には危険が内在している。どのようなことが契機となり、台湾有事として戦争が勃発するかも知れない。リスクはどこにでも転がっている。この方の発言を聞くと有事となれば自衛隊で戦えといっているのかと勘ぐってしまう。終戦から70年以上もたつと喉元過ぎれば熱さを忘れる事態になりそうな雰囲気である。若い人たちはどのように感じて将来の自分の姿を描こうとしているのかなと思う。単純な考え方では不戦の外交努力などは軽視されがちだ。なお、有事に際しては下働きの駒だけが使い捨てにされるのが常である。プーチンのウクライナ侵攻にみるロシア兵士の犬死を見るのと同じことのように思う。危うい世の中になったものだ。何が「美しい国へ」といえるのか甚だ疑問であると思うこの頃だ。
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