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【理事長 明石邦彦のつぶやき】温故知新と不易流行 |
2023/6/6 |
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将棋界では渡辺名人を破り、新名人に藤井棋聖が就任した。今までのタイトルと合算すると7冠となる。羽生さんに次いでの7冠奪取である。20歳での獲得ということで異才であることは間違いない。私は将棋のことはよくわからないが、将棋に興味がない人も彼の快進撃には驚かされるものがあると思う。今度はベトナムのダナンで棋聖戦の第1局が行われる予定である。7冠となると防衛戦が矢継ぎ早に組まれることになり、藤井棋聖には新しい手を考える時間的な余裕もないのではと心配する。AIを使うと時間の大いなる節約につながるのかもしれないが、定かではない。名人位獲得の揮毫として「温故知新」という言葉が書かれていた。AIを活用している人にも昔の対局の棋譜が役に立つということを示しているのだろうか。いずれにしてもAIは過去のデーターベースを掘り起こして次の一手が考えられ、その積み上げによって勝敗の予想がなされることに成る。藤井棋聖は相手との棋風を読み取りながら次の手を考えるのであろうが、常人には予想しないような手を打つときがある。その手はコンピュータに記憶され、新たな手として加えられ、コンピュータが学習していくことになる。将棋の新たな手はこうして生み出されるのであろうが、昔の人の棋譜からも、新たな手を創造させるので、藤井棋聖はこの言葉の持つ意味を数々のタイトル戦から考えていたからの話であろう。
同じようなことは100年企業の本を紐解くと「不易流行」という言葉がしばしば出てくる。松尾芭蕉が奥の細道を旅しながら、会得した考え方である。本来は良い俳句を作るためには基礎をしっかり学び、また、世の中の流れを知り、新しい俳句を考えないと陳腐な俳句ばかりで気の利いた俳句にはなりませんよと説いたものである。不易は時代が変わっても、変わらないもの、変えてはいけないものであり、流行は世の中の変化とともに変わるもの、変えていかなければならないものである。確かに、100年企業は時代の変化に合わせて長期的に生き抜いてきた企業である。コンドラチェフサイクル(技術革新の30年サイクル)から言うと3つの技術革新の時代を生き抜いてきたのであるから時代の変化に応じて事業の形態を変えてきたのであろう。時には「企業としての持続性」や「過去の実績を重視する」と保守的になり、経営を危うくする事態に陥りがちである。解決策としては守るべき部分と変える部分を見極めて時代の変化に合わせて新しい改革を行わなければならない。上に立つ者は心していなければならないことである。当法人も30年を経過し、不易のことは何かを明確に示して職員や利用者がハッピーになる道筋を歩めるように心がけての運営が必要である。これから世代交代する人たちへの遺言でもある。
4文字熟語の意味の深さを改めて思うこの頃である。
①温故知新:論語、為政篇より
古きをたずねて、新しきを知る
以前学んだことや昔の事柄を今また調べなおしたり、考え直したりして、新たに新しい道理や知識を探り当てること
②不易流行:芭蕉の言葉(去来抄より)
不易を知らざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず
今様に解釈すれば「良い俳句を作りたかったら俳句の基礎を学びなさい。しかし、時代の変化に沿って新しさを求めないとつまらない俳句しか作れなくなる。」という警句。
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