社会福祉法人 あおぞら共生会
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あおぞらブログ


【理事長 明石邦彦のつぶやき】NHK番組放映から30年 2023/5/10
 週末の土曜日、食道園にてNHKでのTV番組「笑顔で街に暮らす」、「お仕事頑張ります」というドキュメンタリー番組制作メンバーとの同窓会を30年ぶりに開催した。妻の発案によって集合したメンバーはNHKの3人と明石家の3人である。NHKのメンバーは内多アナウンサー、石田ディレクター、岩切カメラマンである。お互いに30年を経過して、それなりの風化が認められた。もちろん我々も同様に風化して見えるだろう。徹之はそれなりの落ち着きがあり、それなりに成長している一方で、昔と変わらぬ笑顔と癖を見てもらうことになった。
 番組の内容は自閉症ながら川崎市の公務員である徹之の生活ぶりを映像化している。徹之がいつもの笑顔で職場や地域に溶け込んでいる姿を撮影したものである。この放送によって視聴者は自閉症者の特徴を把握できるようになった。「こだわりは害」という定説より、むしろ「こだわりを利用しよう」ということが伝わったからである。例えば、今まで禁止されていた水遊びやトイレ流しの行為を「やめなさい」と否定的に対応することが自閉症児への一般的な対応とされていたが、このような行為が本人の意思を無視し、成長の芽を摘むものであるという新しい考え方で実践した結果が打ち出された点である。水遊びなどのこだわりは本人の興味・関心あるものとして脳が活発に活動していることに着目した。このこだわりを利用しない手はないと考え、本人の自立意識の芽生えに結びついたという結果を示すことになった。自閉症者に接する対応が逆転した契機となった。内多さんの言葉では「逆転の発想」である。このドキュメンタリー番組はさる映像コンクールに出品され、審査員会推賞を受賞することができた。これは参加したメンバーの自慢でもある。
 のっけから番組制作の裏話が話題となった。NHK側から見ると徹之の奔放な行動に面食らったという感想から始まった。TVでの放映までの数々の苦労話のてんこ盛りである。最初のズーラシア動物園では超多動の徹之を追い切れずに撮影をあきらめかけた話や撮影の打ち合わせというだけで内多さん達が我が家に2回も10時間以上も滞在した話も語られた。岩切カメラマンからは徹之がおかしな仕草をし、周りの人は笑いをこらえているのに、カメラマンとしては声もだせず、画面をブレさせてはいけないので、笑いをこらえることに苦労したなどの話が出た。石田さんはこのTV放映で表彰を受けたことによりアジア各国のTVマンが集まる会議に出かけたなどが話された。「えっ、そんなことあったの」など大いに会話が弾んだ。
また、皆さんの現在の仕事はと問うとNHKを離れた内多さんだけが違う道へ転身されたようだ。残りのお二人はまだNHKの在籍中の石田さん、定年後関連企業で仕事をされている岩切さんと教えられた。それぞれが昔の仕事を介してのお付き合いは続いているようである。3人とも徹之の若いころを見た人たちで、面白い話が次々と出てくる宴となった。話し合いには乗らない徹之は食べて、飲んでとマイペースはあいも変わらずの光景であった。2時間程度の再会であったが、これからもお付き合いは続くことだろう。法人の事業の一つにイタリア焼き菓子の店をやっていることをお伝えしたので、PRと販路拡大のため、お送りすることにした。
 久しぶりの同窓会で絆の大切さを感じた。これからどうなるかはわからないが、世の中で注目された作品を作り上げたという自信がある限り縁(えにし)は続くことだろう。

写真:お久しぶり!


   



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