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【理事長 明石邦彦のつぶやき】福島汚染水の海洋投棄について |
2021/4/23 |
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閣議で福島原発に貯蔵されている汚染水、言い換えると、ALPS処理水の海洋への投棄が決定された。飲んでも人体に影響しない程度の水で、安全面を強調した代物である。菅首相も、小早川東電社長も風評被害があれば対応するとのことである。当然のことながら、韓国、中国などの近隣諸国からの反発はあるし、福島漁連にとって深刻なのは風評被害の問題である。原発事故から10年、ようやく、漁場もダメージから回復し、風評被害もほぼ克服し、「これからだ」と意気込んでいた漁業者にとっては大きな衝撃となった。廃炉まで100年?かかるといわれており、その処理水を常時太平洋に流されると風評被害にあう漁業者に死ねということにもなる。また、周辺国に対して科学的な知見を元に理解を進めることができるのかと懸念される。この政権は科学的な判断ができないのでは思うからである。対応策は原子力規制委員会などで十分に議論されたのか、はたまた、科学的検証がどうなったのかの情報が必要である。東電にとって安易な解決策を指向したのではと思ってしまう。政治家も科学的な素養を持っていない人物ばかりなので、海洋投棄のみと決めつけ、まっとうな判断ができないのではと思っている。特に安倍、菅両首相の8年間はおかしな判断だらけである。科学的な詰めを無視した政権に言い訳できるのかと思ってしまう。改ざんも平気な政権だから何が正しいのかがわからなくなってしまう。日本の特徴であった、科学、経済が堕落した政治家におもちゃにされており、世界的な地位の下落が止まらないので頭のすげ替えが必要なのだがと・・・。こんなことを言ってもしょうがない。
汚染水問題について少し考えてみよう。
昔、工場排水によって河川の汚染が起きたので、工場の排水規制が厳しさを増し、海洋投棄なども見直された。その結果、河川に魚が戻るまでの回復を見せた。それにはロンドン条約が大いに寄与したと思っている。味の素(株)にいたとき、工場の排水、活性汚泥など、有機窒素源を含む廃水を外洋に投棄していた時代があった。もちろん有機物が海洋微生物やプランクトンの餌になり、海域の富栄養化につながり、魚が集まる好漁場になるので、認められてもいいのではと考えた。しかしながら、廃水は見た目が悪く、外洋投棄船から白い帯で何かを流していることが空からわかるので、海を汚す奴だと規制を受けた。その後、技術改良がなされ、有機物や微量元素を含む固形肥料が開発され、工場のクローズドシステムは完了した。あらためてロンドン条約を見ると昔とは違い、あたかも原発の排水規制のような感じがする。時がたつにつれて有機物の廃棄から放射性物質の廃棄に変わったようだ。さて、福島の汚染水は東電によるとALPS処理水として名前がつけられ区別されることになったようである。なんだかきれいになったように思えるが、定常状態で稼働している原発の排水と福島のようにデブリス由来や地下水などの汚染水では同じようにALPSで処理したといっても大いなる違いがあると思う。ALPS処理水がきれいなのかはトリチウムだけに焦点を当てるのではなく、微量の核成分の含有量も考えなくてはならない。麻生大臣のように気楽に「飲んでも差し支えない」というようなことが言えるのかははなはだ疑問である。ALPSの吸着分離方式ではトリチウムのみが除けないとなっているが、いくつかの放射性物質は必ず含まれているだろう。私としてはタンクに内蔵されている汚染水を実際にALPSで処理した水の成分分析を何度も行い、その結果として、定常的に安定した分析値が出るまでは飲料水として飲む気にはならない。トリチウム以外にも微量な核物質が含まれた廃水が廃炉にまで処理水として海洋投棄されると漁民は安心した生活できないことになる。基準値以下に薄めると東電は言っているがトリチウムのみを薄めているのではない。必ず微量な放射元素も海洋投棄されることになるので、それらはどこかに蓄積されることになるのではと思う。そうなると総量規制についても考えねばならないだろう。国際原子力機関(IAEA)は安全だと言っているというがこの組織は原発推進派であるので、額面どおりに受けとめられないと考える。我々に分かりやすく、安心できるには各国の原発排水とALPS処理水を比較して検証したらどうかと思う。また、核の微量因子が魚などの海産物に蓄積されるのか、またその他成分も海流によってどのように太平洋で拡散されるのかを想定する必要がある。更に、韓国、中国への科学的な説明で相手を説得することが必要である。なお、風評被害としての検証と補償については十分な配慮がなされなければならないだろう。韓国の水産業者が政治的な反日報道の結果で悲惨な目にあっている現状を考える必要がある。いずれにしても科学的な検証は各国からの検査員を受け入れて、手前味噌な情報提供にならないようにすべきである。また、ALPS以外にトリチウム処理の方法もあるとのことなので、科学的な方法の検討も放流までの2年間以降も続けることは必要だ。科学技術発展のためには。
写真:福島原発のタンク群
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