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【理事長 明石邦彦のつぶやき】知的障害者施設でのクラスター発生について 2020/11/26
 川崎区では11月の声を聴いた頃より障害者の通所施設やグループホーム(GH)でのクラスター発生が続いている。そのためか保健所でのPCR検査がスムーズになった。以前のように保健所の検査まで待っておれず、有料の検査を受けるというケースが少なくなった。そのことは費用的に助かるのであるが、結果が陰性であっても「発症の可能性があるので、2週間は不要不急の外出を避けるように」とのご指導が来る。このため、濃厚接触者に限らず、検査を受けた人は自宅待機などの一時的な拘束を受けることになった。毎日支援すべき利用者がいるGHなどの施設を運営する側にとっては要員タイトの事態になる。このため、利用者支援が薄くなる感がするし、支援者の負荷が増し、いかがなものかと思ってしまう。
 さて、施設や作業所、はたまたGHでのクラスター発生については解決しなければならない課題があるように思う。利用者・支援者の中で一人の発症があると多くの法人で多大の影響を受けることになる。つまり、一つの法人内の発生にとどまらず、芋づる式の連鎖で他の法人への感染拡大を招くことになる。そのため、心配症の人たちは検査の枠の拡大を主張し、検査の規模が拡大する。それによる支援の停滞と一時停止が問題となる。
まず、クラスターの横の広がり(感染の飛び火?)を想定させる原因として次のようなものがある。
①利用者は日中に通う場所と家庭並びにGHなど昼と夜は異なる場所で過ごしている。そのため所属する法人が違うことが多い。それ故、連絡の齟齬はあると考えられ、検査を受けなければならない対象から外れる者が出てくる。所謂、連絡漏れである。
②また、支援員も色々な施設に所属することが普通であり、ヘルパーなどは掛け持ちのことが多い。そのために支援者がコロナになると芋づる式に検査を受けるべき対象が増えることになる。特に、無症状であれば感染拡大の危険は大きいと考える。
③なお、決定的なことは利用者(知的障害者)に見えないウイルスの話をしても実感がわかず、理解度が低いことも原因であると考える。マスクの未着用、隔離の意味など、理解していただくにはなかなかむつかしいものがある。例え、障害者にマスク未着用を指摘しても、本人は息苦しいと考え、自然と着用しなくなるために、ウイルスに対しての防御が甘くなりがちである。
また、「あなたは濃厚接触者と思われるので、違う場所に1部屋を確保しました。本日からそこで過ごしてください。」と説明しても、本人はなかなか理解するにいたらずとなる。その結果、元の部屋に戻るための夜中の外出となり、近隣で大騒ぎになることもある。常日頃から身についたワンパターンからの脱却はむつかしい。他の利用者の方への感染などを考えれば、隔離は当然の処置と思うのだが。
④なお、GHなどで濃厚接触者となった利用者がいる場合、一時的に支援者を固定することが多い。多くの支援者が感染するリスクを避けるためでもある。そのため、一人の支援者が過密労働になることが多い。代替要員は不足気味であるので、これはやむなしと考える。
⑤さて、発症した利用者の理解度が低い場合は支援者がいる病院などで面倒を見てもらうのがよいのだが、現在のように感染者が拡大してくるとそのような場所の確保はさらにむつかしくなっている。病院側は利用者の陰性が確認されると「次の人が待っているので、早めに引き取りに来てください。」との話になる。また、支援する側の看護師(自閉症などの知識がない)がいくら指導しても思うようには動いてくれないことが多い。入院することは医師や看護師の指示に従うのが普通だが、知的障害者は着替えや入浴などの指示が素直に理解されない問題がある。違った環境や慣れ親しんだ支援者ではないので、指示の入りにくさもあるのだろう。そのために、指示が入りにくい障害者は自宅療養などになるのだが、これまた家庭内感染を引き起こす原因となる。日中一時などの施設を開放して、感染症対策に慣れた支援者の交代勤務などを考えるなど、検討すべきことが沢山あるようだ。
しかしながら、クラスターが発生しないように事前の予防策の充実は必須である。
①毎日のきめ細やかな消毒対応
②利用者の毎日のバイタルチェック
③発熱などの症状があるときはコロナと思っての防御
④保健所と連携し、迅速なPCR検査の実施。2日発熱したら即検査など。
支援者側でやるべきことが多いようである。
 最後に、医者から言われたことであるが、「唾液によるPCRの精度が低い」とのことであった。本当かなと思い、調べたところでは従来の鼻咽頭ぬぐい法と唾液法にはそれほどの精度の差はないようである。北海道大学病院のデータではむしろ唾液法の方が感度は高いように思えたので、付け加えておきます。

写真:クラスター発生例


   



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