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【理事長 明石邦彦のつぶやき】台風19号の雨と利根川水系の貯水量 |
2019/10/25 |
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12日から13日にかけてGHの利用者が心待ちにしていた秋季旅行を実施する予定であった。行く先は久しぶりに中禅寺湖側の湖畔荘である。今回はぜひとも秋の紅葉見物と龍頭の滝を見ることにしていた。しかしながら、超大型の19号台風が関東を直撃することになり、やむなく中止することを決断した。
報道の如く、19号が大雨と暴風で関東地区に大きな被害をもたらしたことは皆様も御承知のことと思う。もし、中禅寺湖へ行っていたら旅行中は台風に追いかけられ、名所見物は中止となり、夜はホテルで台風が通過するのを見守るだけであったろう。そして、帰りには道路の冠水や川の氾濫を避けながらの帰宅であっただろう。まさに苦労しにいくような旅行になったことと考える。
引率をする私としては中止に決まったことは適切であったと思っている。特に、雨の多さから考えると利根川の氾濫につながり、また、道路も至る所で冠水し、帰宅もままならぬことになったであろう。台風襲来でどのような影響が出るのかを調べるために、ネットで情報を集めてみた。
まず、利根川水系のダム貯水のデータが切り替わっていつも驚くことは貯水率である。ダムの貯水については7-9月に洪水期対策のために空きスペースがあり、貯水率が10月1日の午前0時から切り替わる。今年の切り替わりは数字の変動が大きかった。特に、貯水量が低い薗原ダムは満水表示の100%から25%以下となった。(表1)
表1 洪水期表示からの貯水率の切り替え(10月1日)
貯水率(%) 貯水量(1000m3)
ダ ム 9月30日 10月1日 非洪水期 洪水期 調節容量
八木沢 82.1 82.1 11550 11550 0
奈良俣 99.1 83.9 8500 7200 1300
藤 原 91.1 43.0 3101 1409 1692
相 俣 93.9 49.6 2000 1060 940
薗 原 100.0 24.3 1322 300 1022
下久保 96.2 68.4 12000 8500 3500
草 木 100.0 61.9 5050 3050 2000
*八木沢ダムは洪水調節なしである。
さてさて、台風19号が川崎を通過中(PM9時頃)、利根川水系ダム付近(八木沢ダムなど)の雨量と貯水量の推移を調べてみた。そうすると雨量は20mm~30mm/hで12時間以上降っており、積算データとしては400~600mmで、ものすごい雨量であった。流入する水量を見てみると1,600m3/S程度となり、通常時の100倍以上の流入速度である。
各ダムとも洪水調整のために貯水しているのかと思ったが、放流量をそれなりに上げている傾向が見られた(八木沢ダム650m3/S?記憶がおぼろげだが)。流入量以下の放流量にはなるが、かなりの量を放流していた。そのため、貯水率がなかなか上がらないので、こんなことで洪水対策になるのか不思議に思った。放流量をゼロに抑えて、流入するままで、下流域での氾濫を避けるのかと思ったが、そうではないようである。洪水調整の空きスペースに少しずつ貯水し、かなりの量を放流するような方式である。よく考えたら全ダムが満杯となり、その後、緊急放流すると川下では一気に氾濫することが考えられた。なるほどである。
10月15日の貯水率を見てみると、10月1日から比べそれぞれのダムが600~3,500m3までの貯水を行っている(表2)。
表2 19号通過後の貯水率変化とダム増水量
貯水率(%)
ダ ム 10月1日 10月15日 増水量(1000m3)
八木沢 82.1 92.3 1179
奈良俣 83.9 91.0 604
藤 原 43.0 95.0 1613
相 俣 49.6 99.0 988
薗 原 24.3 92.8 905
下久保 68.4 97.4 3480
草 木 61.9 96.5 1020
また八ッ場ダムも貯水量試験中で大量の水がプールされたことも幸いしているようである。いずれにしてもダムの貯水量や率を興味で追いかけていると気づくものである。
後日、新聞で西日本豪雨災害の教訓として事前放流の手があったのではないかと批判がなされているが、ダム管理者は台風の進路変更などで洪水対策が空振りになり、冬場の水不足への非難を恐れての事であろう。この件は専門家の意見を待ちたい。
①利根川水系ダム
②八ッ場ダム
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