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【理事長 明石邦彦のつぶやき】 桜の花の狂い咲き |
2019/9/13 |
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8月の終わりに、朝のゴミ出しに出かけて、マンションの正面にある老人施設の桜を見たら、桜の花が数多く咲いていた。ソメイヨシノの葉が茂っていたのを植栽でバッサリと切ったせいであろうか。本来、狂い咲きは秋から冬に向けて葉が落ちてからするものと心得ていたが、青葉がある中に櫻花の白が目立つ構図になっていた。同じように植栽された桜が左側にあるので、よくよく観察したら少ないながらも同じように白い花を確認できた。
狂い咲きは夏の間にできる花芽を低温から守るためと言われており、葉で形成された休眠ホルモンが作用し、花芽を固くし、開花をさせないというのが通性である。しかし、植栽により葉が大量に落とされた影響なのかホルモンのコントロールが効かなくなったものと思われる。この現象を見て8月24日に亡くなった義母が花を咲かせたのではないかと思ったりもした。
そういえば、私の部屋には義母に差し上げた満開の桜の絵画(中島千波作)が飾ってある。義母が認知症を発症して入院したのを境に我が家に戻ってきた絵画である。この絵画は義母の晩年が絢爛豪華でありますようにと、はたまた、息子の徹之への支援に対して感謝の念を込めて、15年ほど前にお贈りしたものだ。しかしながら、妻が義母のお見舞いに行ったついでに、そのまま空き家に置いておくと管理がままならないと思ったのであろう、梱包して持ち帰ってきた。長さが1mを超える作品であったので、飛行機での持ち帰りには大変苦労したようである。中島千波の作品は桜が主体で、この作品は絢爛豪華に見えるが、なぜかしら盛りを過ぎた人生が思い起こされて一抹の寂しさが感じられる。そのため私には合っていないと思っている。むしろ、三鷹の息子が持っていった朧月夜の桜の方が落ち着ける作品である。
さて、義母は医者であったことから徹之の療育では大変お世話になった。徹之が3歳の頃「彼はAtypical Childである」と私に説明してくれた。ストレートに自閉症とは伝えにくかったのだろう。私は額面通りに“典型的ではない子供≒天才児“と解釈して過ごした何年間がある。その後、佐賀に転勤したときに久留米大医学部が開催する自閉症の夏のキャンプ(九重山、宝泉寺温泉)を紹介していただき、一種のSensitivity Trainingを体験した。そして、この体験を通して新しい自分が花開いたと実感している。会社でのST体験もあったが、人に対する興味や愛情に目覚めることになり、一段と柔らかさが身に着いたように思う。あらためて感謝する次第である。
まさに、桜の狂い咲きは義母の怨念・執念?が啓示されたのかと通勤の道すがら眺めている。なかなか散ることを知らない桜花である。2週間は咲き続ける勢いがあるようだ。本来、我が家では私の誕生日前後に孫(同月誕生日)と一緒に祝うのであるが、今年は急遽中止になった。やむえぬことである。いつか高尾山の薬王院にてあらためて感謝の念で供養する必要がありそうだ。
写真:①桜の狂い咲き ②満開の桜 中島千波作品
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