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【理事長 明石邦彦のつぶやき】 最後の戦いを終えて |
2019/8/19 |
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7月に家族の事情で昆虫採集に行けなかったTさんから「8月の予定はありませんか」と電話がかかってきた。すぐに、私は「前回の電話(7月欠席)の時にお話ししたように今の所予定はありません。」と伝えた。しかしながら、今年の6月、7月の採集行は長梅雨にたたられ、花の開花時期が大幅にずれたこともあり、ハナカミキリが少ない。そのため、フラストレーションもたまっているので、車の運転をしてくれるSさんにお伺いを立てた。
彼は「仕事の予定もあるが、調整してみる。」とのことであった。「Tさんも採集行がないとイライラが溜まっているのですね。」と会話し、できるだけ開催する方向で検討していただいた。その結果、Sさんから「自分の車は修理に出すので、レンタカーを手配すると行ける。」とのことであった。すぐにその手配をしていただいて、Tさんに「行けるようになった。土曜日の朝にSさんが自宅まで迎えに行くので、準備してください。」と連絡した。他に参加者を募ったところ、山野草に興味があるGさんが「日帰りなら参加する。」とのことで、新しいメンバーを加えての今年最後の大菩薩峠行を挙行した。
AM5:30に我が家で4人分の昆虫採集用具を乗せて出発した。初狩でトイレタイムとなった。なんだか知らないが記帳所が設けてあった。Sさんが「笹子トンネルの崩落事故の慰霊のこともあって記帳所が作られているのです。」とのことであった。そういえば、10年ほど前になるであろうか天井板の崩落で、何名かの人が亡くなられたことを思い出した。トンネルの通過に当たって改めて天井板のない、むき出しとなったトンネルの天井を観察することになった。その後、勝沼のICをおり、ブドウ畑・桃畑の続く道を裂石に向けて走っていた時に、何を思い出したか、Tさんが自分が支援を受けている相談支援センターでの話を持ち出してきた。「生活保護を受けて就労をした場合、保護費が削られる。どれくらいの影響を受けるかを相談支援員がこの次に教えてくれる。」ということを話された。Gさんは社会福祉士であり、以前は鶴見区の相談支援員を務めていたので、車内はその話題となった。私も講演会でお話しする内容なので、正確な数字ははっきりしないが、次のように答えた。「もらえる額は就労控除などがあるけれど、工賃2万円/月で60%くらいの手取り金額で、4万円/月で半分以下の金額ではなかったかな。働いてもあまりにも手元に残る額が少ないので、働きたくなくなる人もいるんだよ。」と伝えた。「でも、彼女とのデート代くらいには回せるのではないかな。」という話になった。そのあと彼女とのデート代の割り勘問題で話が弾んだ。車は裂石から柳澤峠に向かい、まずは三窪高原のノリウツギやリョウブの花を狙った。早朝のせいかあまり虫が集まっていないようである。Tさんがキモンを採ったくらいであった。そこで六本木峠の立ち枯れや倒木を狙うことに切り替えた。道端には倒木や丸太が積み上げてあり、良い場所だと思うが、前日の雨のために、木の表面が乾ききってはいないので、トラカミキリ類を見かけない。枯れ枝でのタタキ網ではそれなりの虫が取れた。登山道での分岐点に来たので、「この前訪れた多摩川源流部の眺望所まで行こう。」という話をしていたら、Tさんが見当たらない。少し待つことにしたが、なかなか姿をあらわさない。暫くすると携帯電話がかかってきた。「虫をとっていたらどこかわからなくなった。小川が流れており、ブナ坂迄の標識はあるとのことであった。待っていることにしたが、出会わない危険があると考え、「標識に柳澤峠への道が示してあるはずだから引き返すようにしてください。我々も引き返すから。」と伝えた。よく知らない山道でお互いを捜すのには時間がかかりすぎるから時間のロスが大きいと判断したのである。柳澤峠に戻り、待っていると峠の下の方から彼が現れた。虫とりに夢中で、下の道に出てしまったようである。たまたま携帯電話が通じたので、よかったが、これからは二人ずつでお互いを確認しながら採集しなければと思った。Tさんは一人行動するところがあるので、要注意である。
多少の時間ロスはあったが、次の目的地である源次郎岳に向かった。途中でいつものペンションすずらんで昼食をとり、すずらんのおかみさんとの話になった。「今年は梅雨の影響で、虫が少なかったが、回復基調であるとのこと。今年はどうして泊まらないのか。他を利用しているのか。」を尋ねられた。「朝早く出発すれば帰宅できること。泊りの夜のライブカメラでは子供さんたちが多すぎて夜間採集にならない。」と伝えた。そうすると「夜間採集はすずらんの場所ではなく、各所でできるようなコースがありますよ。」とのことであった。本格的な虫取り屋はそれぞれの場所でトライしているようだ。所々で夜間採集用のネットが張ってある場所があったのはそういうことなのかと納得がいった。また、昨年12月末にむし社が出版した「カミキリ大図鑑Ⅰ」が販売されていたので、購入した。家に帰っての楽しみだ。そして、すずらんの貯木場で木の上を歩くトラカミキリを採取し、源次郎岳に向かった。公園は栗の花、リョウブ、ノリウツギの花が咲いており、いつものカミキリを数多く採集できた。特に初めて参加したGさんはカンボウホソトラを捕まえ、後日懸賞金をいただいてご満悦であった。彼の趣味である山野草の撮影にはもう少し早い時期が良いように思われた。最後となるが、沢山のカミキリを捕まえて大菩薩の採集行は無事に終了した。
写真:①キモン ②カンボウホソトラ
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