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【理事長 明石邦彦のつぶやき】最期のサポート研 |
2019/3/4 |
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1999年に発足したサポート研が20年の活動を終えて解散するので、最後の講演会が行われた。場所はいつもの新宿から川崎の武蔵小杉となった。川崎開催であるので、法人の職員に呼び掛けて、多くの職員がでかけた。私たちはこの研究会を活用して、支援についての議論を交わしながら法人運営に役立ててきた経緯があるので、会が解散するのは大変寂しい限りである。
今回の開催のテーマは「本人中心支援の検証とこれから」として、初日の全体会では糸賀一雄賞を受賞した明石親子をはじめとした著名な支援実践者が登壇されての講演であった。2日目は4つの分科会に分かれて支援の実践を語る会となった。参加者からは今回で終わるのを惜しむ声が会場の随所から聞くことができた。いずれにしても会員の減少と今まで研究会を推進してきた人の高齢化に伴う決断であり、やむえないものがある。
初日の講演はNHKが撮影した我が家のビデオが上映された。昔の私がビデオで登場したので、上映後の昼休みには多くの人達から色々な言葉かけをいただいた。あのビデオに自分の話しぶりをとらえたシーンが出てくる。このシーンを見るたびに反省が先に立つ。「もう少し要領よく話せよ」という内なる声が聞こえてくるのである。私は福祉の世界へのデビューであるので、緊張していたのであろうと理解に努めているのだが、ついつい愚痴になってしまう。
2日目はエピソード記述についての分科会に出席した。鯨岡先生の関係性の話で、接面をとらえてお互いの心の動きを描写するもので、サポートの質アップにつながる話だと理解した。講演者が自らの体験したことをエピソードとして記述したものが発表された。記述にはかなりの詳細さで書かれていたが、読み手の私としてはこの人の背景は?養育履歴は?と色々考えることが多い発表だった。利用者や支援者たちの心理状態などが詳細に書かれていないとその人たちの内面にある気持ちを読み取ることが難しい。記述者は自分では丁寧に書いたつもりであるが、なかなか読み手には理解しにくいものであると改めて思った。特に、障害者の行動が若い時代からどのような過ごし方をされたのか改めて知る必要があると感じた。私のグループホームの利用者のトラブルを考えた場合、本人はどのような療育がなされたのかとか、家族の考え方とかいろいろな情報が的確に示されないと少しずれた支援になるのではと考えられた。色々な質問が若い人たちから出て、現場で苦労されている姿が垣間見えた。中でもスキンシップの功罪について議論がなされたが、私の意見を言うべきかと迷ってしまった。後期高齢者に近い人が発言するのはこの会の後継者が育たなかった原因ではと思われるからである。スキンシップによる支援の在り方には私は意味がないと思っている。利用者をいたずらに刺激し、興奮をもたらす懸念があるからである。日本の社会風習にはないようなハグとかはなじまないものだ。できるだけ皮膚に触れることがないように法人では指導している。言葉や仕草でのコミュニケーションができるはずである。
さて、鯨岡先生が言われる接面については関係性の面から見ると当然のことのように思えた。あるがままに対象となる障害者をとらえて、その心の内面を描き出し、自分の支援の実際を問うことのように思える。最後に先生の講評があったが、新しい支援の考え方を若い人たちに求められた。エピソード記述の中身についても、科学論文のような必要な項目が用意されないと障害者の内面を理解ができないと思う。新しい支援の在り方を追求するには支援に伴う障害者(家族を含む)並びに支援者の心の内を正確につづる必要がある。そのような形で論文づくりが行われれば、このような事象における心理状態と支援の在り方に行き付くのではと思われる。この世界に博士号を持つ人たちが輩出される素地を作らなければむつかしいのかなと思う次第である。鯨岡先生の講義を聞きながら、先ずは法人のグループホーム活動として、一人一人のエピソードが日誌につづられるような支援をすることが必要であると思った。これらの記述がトラブルの際の引き金を推測できるようになるのではと思う。その後、改めてエピソード記述を書いてみると利用者並びに職員の心の富取が出来て、面白いのではと思う次第である。氷山モデルのゲンカミシートを定着させて、問題の本質に迫ることが大事名だなと思った。いずれにしてもこのように真摯に障害者支援を考える会は少ないと思うので、若い人たちが集まりなおして復活させてほしいものだ。
写真①会場 ②氷山モデルからの解決策作り
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