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【理事長 明石邦彦のつぶやき】ノーベル医学生理学賞の受賞について |
2018/10/12 |
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2年ぶりに本庶佑さんの受賞がTVから流された。大隅先生に続いての日本人の受賞である。以前から候補には挙げられていたのだが、私は残念ながら正確な研究のアウトプットを知らなかった。私が本庶さんを知ったのは先生が総合技術会議のメンバーの一人だったからである。メンバー一覧を見て、難しい苗字で、何と読むのかしらと思った。議長をされていた同じ大学の医学部である井村先生と違って、強面の厳しい先生のイメージであった。先生の経歴を調べてみると、総合技術会議のメンバーになられたのが2006年と記されている。同じ会議のメンバーであった味の素の江頭社長の付き添いとして、私はいつもお供していたので、面識があった。私がお見かけしたのが2000年の頃である。その当時の私は日本のバイオテクノロジー戦略を作っている頃なので、少しズレがある。もしかしたら、総合技術会議の下の分科会*だったかも知れない。記憶が曖昧なのは年の所為であり、誠に申し訳ない。*後に調べてみると総合技術会の分科会にライフサイエンス部会があり、そのリーダーをされていたという記録があった。勿論江頭社長も分科会のメンバーの一人であったので、面識があったことが分かった。
TVで流される先生の基礎研究とその集大成の新薬の話を聞くにつけ、崇高なフィロソフィーを感じる。「簡単に信じない。考えて納得いくまでやる。」はなかなか凡人にはできないことだ。
また、小野薬品との共同研究にあたっても素晴らしい粘り腰というか、戦略である。その結果として、世の中に免疫治療薬「オポジーボ」を生み出されているのだから素晴らしい成果である。
この薬が世の中に出たときにはあまりの価格の高さに驚いたもので、一般の人が使えるのか疑問にも思えた滑り出しだった。当時の73万円/100mgから、いまでは17万円となり、保険適用のがんであれば高額医療制度が使え、8万円/月の費用で済むようである。
受賞後の会見を何度か重ねるうちに、賞金の使い方が話題となった。賞金は生命科学分野の若手研究者の支援に充てるとのことである。基金は特許の分も含めて、1000億円の規模だという。すごいなーと思う反面、政府が基礎研究資金に力をかけていない現実には暗たんたるものを感じる。大隅先生も基金を作り、基礎研究者を支援している。個人の微々たる基金よりも政府の研究投資の在り方が問題である。戦争準備のための戦闘機やイージスアショアを少し制限して、基礎研究に回した方が世の中を明るくするように思う。企業だって内部留保を研究投資に回し、技術強化を図るのが良いのではと。それが従来の技術立国に資することになるのではと一考する次第である。
一度研究投資の欧米との比較や、日本の研究投資の実態をデータで読み取りたいものだ。
写真:①本庶侑先生 ②薬の作用機序 ③薬 ④ミサイル防衛 6000億円/2基 ⑤F-35戦闘機 150億円×42機
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