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【理事長 明石邦彦のつぶやき】 内向的な人の意見発表のやり方 2017/10/5
さて、前段は会議に臨む前の準備についての考え方を述べた。しかし、十分に準備して臨んでもなかなか会議では思うように意見を述べることができない人もいる。特に知らない人たちの前で、堂々と意見を述べることが難しい人のためには「会議が始まったら最初に発言し、心の安定化を図りなさい。」と申しあげている。内向的な性格の人は少なからず以下のような経験があると思う。座談会や会議が始まると口達者の人たちが真っ先に話し始め、自分の言い出すタイミングがつかめず、なかなか発言できない。イライラしながら発言の機会を窺うのだが、四苦八苦する。その時の頭の中は発言しようとする言葉や説明の順番などがグルグルと駆け巡り、議論の輪に入っていけない。このように困った経験を持つ人は多いことだろう。かくいう私も口数の少ない好青年だったので、大変苦労した。(笑い)また、会議の中で似たような趣旨の発言をされた場合、その意見にどのような加工を施し、自分の意見にして言うかとなると、またまた悶々である。まったく主旨が同じ発言だったら次の展開は考えているから会議の流れにのれるのだが。あれこれと考えるとますます自分の頭が混乱し、最後まで発言できずに悔しい思いをすることは度々である。だから会議に参加するのは嫌だと思ってもしょうがないと思う。このような苦しさを克服するための手っ取り早い方法があることに気付いた。
以前、経営企画や研究企画に属していた時に社長に随行し、総合科学技術会議に出かけるケースが多かった。もちろん社長は文系であるので、私と短時間だが、意見調整し、会議に臨むのである。もちろんお付きの私は真後ろの離れた席から会議の進捗を見ていた。
座長の挨拶が終わり、会議の始まった途端に社長は手を挙げて民間会社から見たバイオ産業の目指すべき方向性とかを発言し、座長が進行しやすいように導くのである。このようなことを何回も目撃した。もちろん、会社がその分野のリーディングカンパニーであるから、意見が集約しやすいように持って行っているのだろうと推測できるが、その発言は鮮やかであり、会議のイニシアティブが取れていることに感心した。つまり、最初に発言して自分の呪縛を解けば会議の流れに乗って、思っていることが十分に述べられることに気が付いた。総合科学技術会議であるから、担当大臣、時には首相が出席する。社長の最初の発言で短時間での意思決定がなされることをしばしば体験すると社長には尊敬の念を抱かざるを得ないようになる。このような姿勢こそがリーダーとしては大事なことであると。最初は拙くても経験を積めば次第にできてくるものであろうと推測はできるのであるが・・・。
 このようなことはどこの会議に出ても同じことと考える。口下手な法人の職員の方にも「最初に発言すると肩の荷も下り、頭もすっきりして会議の流れに乗れるから」とこの方法を推奨している。最近では、皆が色々な意見を出し、皆の意見とは視点・切り口が異なる場合にのみ会議の最後の方で私は発言するようにしている。職員からいろいろな視点・切り口で満遍なく意見が出れば、会議の結論も早い。すぐにお開きだ。

イラスト:会議開始         ハーイ       心の安定





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