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【理事長 明石邦彦のつぶやき】 基礎研究支援へ財団の創設 2017/10/3
昨年のノーベル賞受賞の大隅先生が基礎科学研究を支援する一般社団法人を設立された。
来年の春にも先見性や独創性のある生物学の研究に対し、助成を始めるという。この財団を設立される趣旨として「日本の科学の閉塞感を少しでも取り払いたい」という意思の表れということのようである。私が経団連や総合科学技術会議の活動の様子を見ていて思ったことは「資金に限りある場合は民間会社でいう選択と集中しか生き残る道はない」ということだった。その結果、時代の先端を行く研究が注目され、その研究者に多大の資金が集まることとなった。確かに、東大などの有名大学、理研などの研究機関に多額の研究投資が行われてきたが、逆に裏返すと地方大学、弱小研究機関には資金が不足する事態となり、今まで続けられてきた研究テーマが打ち切りとなるケースも生じたように思われる。研究資金が不足するとなるとよりテーマの面白さ等に焦点があわないとテーマが生き残れないのも事実であろう。特に、地方大学では地域密着型のテーマやユニークな研究テーマに焦点が当たるだろうし、生活の中に根差したテーマなどが産学連携のテーマとして生み出されてくる期待値を持っていたはずである。
しかし、大隅先生が指摘するように大学の研究予算の削減や大学研究機関の格差が拡大するという負の面が強く出ると挑戦的な研究をしないとかの懸念は別にしても、日本の将来を担う若手研究者の意欲が低下するという方が大問題であるように思う。
 私は選択と集中の結果の弊害として一部研究機関で予算の無駄遣い、特に高価な試薬の買いすぎなどが挙げられていることを知っている。必要悪だとその時は思ったが、大隅先生のように大学研究機関の貧困さに目が向くと財団設立への思いは熱くなるのであろう。以前、農芸化学会に属し、地方大学のユニークな研究テーマに学会から賞として複数年の研究資金を渡し、そのテーマを育成するような仕組みを創生した記憶がある。そのために学会事務局活動の一端として大手企業に拠出金の提供をお願いして奔走した記憶がある。今日までその仕組みが存続しているかはわからない。大隅先生が言われている先見性や独創性とぴったりとはいかないかもしれないが、ユニークな研究テーマの中にはそのような芽が存在しているように思う。僅かな研究資金をひねり出しながら日本発の研究テーマが花開く可能性を見出してこそ科学者としての醍醐味であるように思う。海外の先端研究ばかりではなく、独自の視点からの研究土俵をたくさん育成するのが科学界の役割であるように思う。今年もノーベル賞の選考が始まり、順次発表されることになる。今年の栄誉は誰か?

写真:大隅基礎科学創生財団の設立


   



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