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【理事長 明石邦彦のつぶやき】外来生物の影響 |
2017/8/23 |
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昆虫採集週間も終わり、散髪屋に顔を出した。すぐに天城と大菩薩の成果を尋ねられた。それぞれの地区でのカミキリムシの成果などを話すと新聞の切り抜き記事を示された。遠くスイスの地で農業被害を与える日本在来のマメコガネの報道である。スイスではブドウなどの果樹作物を食い荒らすとして警戒警報が鳴らされている。この虫は1970年代からポルトガルに現れたようで、イタリアに定着し、温暖化に伴い北上を続けた結果であるとされている。日本では普通にみられる小さなコガネムシだが、欧州では驚異の目で見られているようだ。
一方、日本では中国の貨物船のコンテナより毒性の強いヒアリが侵入して、ヒアリの定着を防ぐための水際の防疫対策に追われている。いずれにしても荷物や材木、若木、土などには必ず外来生物が存在し、成虫とは限らず、卵の状態でも移動は行われるものである。そのためには水際での防疫対策の成否が定着防止の分かれ目となる。一旦、外来生物の侵入を許すと固定化する確率は非常に高いといえる。このようにグローバル化に伴い、荷物等の移動に伴って生物が世界を回り、固定化する例は多い。カミキリムシの例では今年、天城山で採ったラミーカミキリもその典型的な例である。また、最近では桜や桃の害虫として中国より移動してきたクビアカツヤカミキリがいる。埼玉では桜並木が枯れたという実害が報告されている。
海の生物として私どもの食卓に上がるようになったものとしては東京湾でのポンピノス貝がある。大きな貝で、少し肉質は固いが、なかなかの味である。また、害をなすものとしては郡山のタウナギがいる。この魚は水田の漏水や金魚を捕食する騒ぎが持ち上がっている。昆虫の世界では2,3年前から騒がれているセアカコケグモもそういった例の一つであり、このような例は枚挙にいとまはない。
しかしながら、マニアなどが自然界に放す例もあるようであり、規制の呼びかけが行われている。動物好きの人がペットとして飼いきれなくて自然界に放つ例も多い。カミツキガメが繁殖しているのもその典型的な例であろう。昆虫の世界では外来のクワガタムシやカブトムシなどの飼育が盛んなので、それらが自然界に放たれると日本固有の種との交雑を引き起こすことが懸念される。最近、私の住むマンションにゴマダラチョウと競合しそうなアカボシゴマダラチョウの美しい姿を見かけることが多い。マンションの壁にくっついているのを考えると灯りに飛んできたものと思われる。これも一説によると昆虫マニアが放ったものとして挙げられている。いくらきれいな蝶だからといっても日本産のゴマダラチョウのテリトリーと重なると自然界のバランスが崩れる原因になると考える。当然のことながらマニア達のモラルが問われている。
いずれにしても昆虫や動物など、そのもの自体が流通している現在ではグローバル化と温暖化がもたらす生物の往来物語であるといえる。
写真①マメコガネ ②ラミーカミキリ ③クビアカツヤカミキリ ④アカボシゴマダラ
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