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あおぞらブログ


【理事長 明石邦彦のつぶやき】 福中・福高100周年記念講演会に参加して 2017/6/14
ノーベル賞受賞の講演会の切符が手に入り、10日早朝の便で福岡に飛びました。中学、高校の1年先輩の大隅先生を知っているので、ぜひとも聞きたい講演であった。9時に福岡空港につき、講演前に香椎の兄の家にご機嫌伺いをした。JR香椎駅には大隅さんが過ごされた小・中学校の場所という垂れ幕があり、いささか驚きであった。仏壇の父母に挨拶をした後に、兄夫婦としばらくぶりの会話となった。テレビでは大隅先生が学校の記念式典に参加されている様子や化学部で部員と意見を交わすなどの映像が流されて、まさに朝からフィーバーである。その後、講演場所の福岡国際会議場に向かい、自分の席を確保した。若い高校生がお客様の誘導などでてきぱきと行動していた。会場の配置図から見ると最前列に在校生1200名ほどが座り、来賓席、そのあとが卒業生の席がしつらえてあり、総数で3000人規模の講演会場であった。最初は大隅さんよりノーベル賞のレプリカの寄贈があった。なぜか目頭が熱くなり、自分自身が制御不能となっていった。演者の履歴を見ながらロックフェラー大学留学の前に急遽博士号を取られていることや私が40才頃博士号を九大から頂き、奈良女子大学の大隅先生の講演を聞きに行ったことが思い出された。大隅さんは1年後輩であった私に優しく接され、旧交を温めたことが思い出された。その時は酵母の液胞の写真が沢山あり、オートファジーとは別の研究だった感じがするが、記憶は定かではない。経歴や受賞の一覧を見ながら研究者としての苦労は並大抵のことではなかったろうかなど、若かりし頃に思いをはせ、涙腺の緩みを生じたものだった。
 講演内容は研究の成果が主に語られていたが、若い人たちを元気づけ(encourage)、エールを贈る内容だった。先生自身の人生訓が多く語られ、研究だけではない、真摯な姿勢を読み取ることができた。私は経団連での産学連携やバイテク会議に参加していたので、何人かのノーベル賞受賞者の講演を聞く機会に恵まれたが、大隅さんは淡々とした、品格のある先輩だなと感じた。
 講演終了後、若い人たちに向けて啓発の意味があるのであろうか、高校生からの質問を受けて、自分の考えることを話された。演壇に登場した高校生にとってはノーベル賞学者とじかに接する機会に恵まれ、おおいに興奮したことであろう。最初は受賞に関する質問が多かった。中でも「受賞後、お知り合いが急に増えた」との言葉には会場から笑いが漏れた。「高校で学んでいることは将来役に立つのか」、「興味の追及と就職の関係」、「高校から人と違うことをやってきたのか」、「どんな生徒だったか(授業態度・化学部など)」、「実験で予想と違う現象が出たらどう考えるのか」など幅広い質問が出た。普段通りに丁寧に答えられていたが、高校生の将来のために役立つようなフレーズで答えられていた。「三角関数は今でも研究や実生活で使ったことはないが、このような学問があることを知り、それを解き、考えることが大事である」と。また、「実験で予想外の結果になるのは面白い。失敗の結果かもしれないが、追及して、再現性のあることならセレンディピティ―となる」。また、「研究の成果は色々の人が積み上げてきた知見の上に成り立っている」等々。また、「最近は性急な結論を求めすぎる世の中になっている」とか、「ドクターコースに行く人が少なくなっている現実を憂える」、「社会には基礎研究が必要。日本を支える研究に温かい目線を」とかを話された。この様な内容は生徒を飛び越えて、我々に対するそれなりの注文として受け止めた。直に先生に触れた生徒たちが、この興奮を忘れずに新しい日本・新しい考え方を創造していただければと思う。
 私は経団連で基礎研究の成果がいつになったら出るのかよくわからないので、どのような点が面白いのか、どのように応用と結びつけるのか研究者に鋭く切り込んだこともある。産学連携の部会は特にそうであったように思う。今はアメリカの基礎研究にタダ乗りすることなく、自前で基礎をという心境であるが、大学改革が基礎研究者に冷たくなったことも事実であるので、基礎研究にどの程度の資源投入するのか考え処に来ていると思われる。
 さて、11人の質問者の学年分布に目が行ったので、ご報告すると1年生が5人、2年生が2人、3年生が4人の分布であった。正確かどうかはわからないが、最後の方になるとやはり3年生たちが主体のQ&Aであった。いずれにしても若い人たちの心に残るQ&Aのやり取りであった。企画した人たちに感謝のエールをお送りしたい。最後まで若い人たちの心が熱くなるような応対をしていただいた先生の発言に目頭が熱くなるのを禁じ得なかった。2度も泣かせられたので、自分にとってはよい講演会だったと言えるだろう。

国際会議場演壇にて(記念写真集より)


 



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