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【理事長 明石邦彦】 大村教授の受賞 2015/10/13
今年もノーベル賞の受賞者が出た。
カロリンスカ医科大から大村教授に吉報が持たらされた。
今年の受賞テーマは寄生虫防止の特効薬の発見である。
マラリヤや象皮病など熱帯特有の病気に対する医薬の研究である。
まだまだ、病気を完全に撲滅するまでには至ってはいないが、多くの命を救っている現状に対する評価であろう。
遺伝子組み換え手法や再生医療に比べると寄生虫の防止とは何となく地味であるが、熱帯圏に住まう人たちには大いなる貢献といっていいだろう。

大村先生は北里研究所の所長として活躍されていた時代から微生物から有用物質を発見する地道なスクリーニングを繰り返し、放線菌が産生する物質を発見し、キャンベル博士によって家畜で効果があることを発見したということである。
その後、メルク社との共同研究で効果を強めた化合物を作り、世界へ普及することになったとのことである。メルク社は農工大の遠藤博士のコンパクチンを変化させて、コレステロール合成阻害剤として薬となったスタチン系と同じ開発経緯がある。

 また、中国のユウユウさんは中国における科学分野での初受賞であり、漢方薬の中の有効成分がマラリヤの特効薬として普及するに至った点では功績大と言わざるを得ない。博士号を持っていないとか騒がれているが、中国の中ではトップクラスの識見であり、博士号の称号はないものの実績では秀でている。
同様なことは島津製作所の田中耕一さんがたんぱく質の立体構造の解明で受賞された時には御出身の東北大学では博士号を取得されていないという事実があった。博士号よりはノーベル賞の方が高いレベルのものであり、問題はないように思う。

いずれにしても、今回の受賞が寄生虫の予防ということで、今様のバイオ医薬関連の研究でないところに大いに意義があるように思う。
多くの命が救済された事実に敬意を払いたい。
翌日またまた、ノーベル物理学賞に梶田氏が輝いた。
大村氏と違い基礎研究である。

いずれにしても科学は基礎・応用とバランスよく研究火をかけなければよい成果は生まれないことだ。文科省の方針は大学の改革を叫んでいるが、実学重視だけでなく、基礎科学や哲学・文学などを大事にした教育をやることが重要と思う。

(参考までに)   
マラリア:マラリア原虫(寄生性原生生物)
象皮病:パンクロフト糸状虫
オンコセルカ症:回旋糸状虫





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