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グループホームを利用するAさんは猫が好きである。
休日はヘルパーを使って猫カフェへしばしば出かけている。
熱川温泉旅行でもホテルの黒猫がなついて、肩に乗ったりすることを喜んでいた。あげくに、グループホームで猫を飼いたいと言い出す始末である。
一応、ホームではペットは可だが、私が飼育しているランチュウを食べるかもしれないので、ダメと伝えている。
そこで、登場したのが、4種類の鳴き声を持つおもちゃの猫である。
たまたま、川崎市が主催して行った中小企業の振興策の一つに福祉関連グッズがあり、貸し出されていた。
中に猫のおもちゃが出品されていたのである。興味を抱いた妻が知的障害者には役立つとして数体を借り受けてきた。
その中からポピューラーな黒猫を選んで、Aさんをモデルにモニタリングを開始した。おもちゃの猫は頭、喉、背中を触ってやると気持ちよさそうな声をあげるが、尻尾を触るとガラガラ声で威嚇する。
Aさんはなかなか気に入ったようで寝る時も枕元に置き、楽しんでいる。ささくれ立った気持ちがいつの間にか和やかになるようである。
彼の行動を見ているとペットまがいなものであるが、癒しという時間は大切であると実感する。
早速、モニタリング終了後は安く譲ってもらう予定である。
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