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【明石邦彦のつぶやき】「全ゲノム重複」がもたらす金魚の多様な系統樹 |
2026/7/6 |
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床屋さんに行くと私が興味ある情報を新聞紙面からコピーして渡してくれる。今日は読売新聞の金魚欄と川崎のタウンニュースの切り取りであった。タウンニュースは徹之が務める夢見ケ崎動物公園の園長さんの話であった。園長さんだから獣医師の資格を当然持っていらっしゃる。また、奥様と娘さんも獣医師なので、一家全員が獣医師とのことである。また、出身を見ると川崎区の出身だとある。早速、我が家で情報を共有することになるだろう。もう一方の切り取りは金魚の系統樹が示されていた。床屋さんは私がランチュウの飼育に熱心だから切り取ってくれたのだ。いつもながらありがたいことだ。
しかしながら、紙面の中身は床屋さんには難しい「全ゲノム重複」の話だった。私にだって聞きなれない言葉である。重複だからよく言う2倍体が4倍体になって、また、変化した2倍体に落ち着く話かと思ったが、何せ昔の記憶であり、不確かな頭の中身だ。
渡してくれた「伝承のサイエンス」の紙面には「染色体倍増 変異と生存両立」そして、金魚多品種の秘密と書いてある。紙面の半分以上にフナを祖先とした系統樹が変異点も合わせながら交雑の歴史を述べている。そして取り上げたのが「桜錦」と「頂天眼」のかけ合わせである「サクラチョウテンガン」が取り上げられている。
記憶をたどり、調べてみると桜錦はらんちゅうと江戸錦の掛け合わせで、透明な鱗を持つ品種だった。そして、浜松地方で有名なランチュウ飼育家の杉浦邦彦(私と同じ名前なので記憶している)さんが桜錦を販売していたことも思い出した。杉浦さんは有名な方なので、ランチュウを何匹か手に入れたことがある。桜錦はその当時は種として固定された感じがしなかったし、何せ透明な鱗が好きではないので、手に入れて飼育した経験はない。杉浦さんはランチュウの作り手として有名な方なので、金魚屋(金魚一道)に頼んで、入賞した魚を入手した記憶がある。
このような話はさておき、全ゲノム重複の話に戻そう。この欄には広島大学の大森教授の話で取り上げられている。金魚が多様な品種を作り上げられてきたのは染色体が2倍に増える「*全ゲノム重複」が起きたためと紹介されていた。そして、人間のようなの脊椎動物の祖先でも約5億年前に2回起きた現象だそうだ。大森教授はフナの祖先種の全ゲノム重複は1400万年前に起きたと、19年に学会報告されたそうだ。祖先種の遺伝子を調べることは面白い研究だなと思って興味をひかれた。色々調べると1970年代、遺伝学者の大野乾氏が脊椎動物のゲノムは進化の初期段階で全ゲノム重複が1回以上起こったとする「大野仮説」を唱えたそうだ。今ではゲノム研究の進展に伴い、研究は格段と進んだ思われる。倍化についての研究はいまだ議論が続いているようだ。脊椎動物の系統樹で全ゲノム重複が発生した主なものが取り上げられており、研究対象としてアフリカツメガエルが取り上げられている図もあった。これによるとニジマスの系統では1億年前、アフリカツノガエルでは1800年前に起こったとされている。この図は大森先生の発表は参考にされていないようだ。
この原理は。祖先種の違う2倍体の生物が全ゲノム重複により異質の4倍体になり、その後、ゲノムの再構成により、2倍体に戻るとのこと。アフリカツメガエルの例を取って異質4媒体の研究は進歩し、環境適応因子や生存競争に打ち勝つ因子を獲得したことによると推測されているようだ。読み進めると研究とは面白いものだなと思った。しかし、後付けで、環境適用や競争に打ち勝つと言われても、私の頭の中には倍化とはどのようなきっかけで起こるのだろうという疑問がわいた。環境が悪くなったので、倍化しなければ生きていけないとカエルは思ったりするものかと思い、そのきっかけとは何だろうと改めて考えてみたりした。
金魚の系統樹を見てみると変異のあった遺伝子と特徴が記されている。ロングテール(特徴)はkcnk5(遺伝子)、出目はIrp2、背びれ欠損はIpr6などと書き込まれている。
金魚の新品種育種を考えるとゲノム編集を使えばよいのにと思ったりした。これは研究をしている人に対して不遜な発言に聞こえるだろう。不謹慎と言われないようにしよう。
さてさて、金魚の多様な品種の系統樹を見て、飼育熱は湧き上がるのであるが、セソールマンションでは2つの理由で出来そうもない。金魚の水替えのための水道蛇口とホースが不適合であることと雨水の排水設備では飼育槽の廃水でベランダに溢れることが理由である。飼育ができない不遇をかこつ機会ともなった。
*全ゲノム重複:生物が持つ遺伝情報の1セットであるゲノムが、そのまま倍加することを全ゲノム重複という。全ゲノム重複で遺伝子数が一度に倍になると、余剰な遺伝子に新たな機能をもたせることができるため、生物進化の大きな原動力の一つとされている。脊椎動物は今日の地球上で最も繁栄している生物種の一つだが、その要因として今から5億年前にその祖先種において2回起きた全ゲノム重複が考えられている(トップ画:脊椎動物の系統樹と全ゲノム重複の箇所 参照:東工大ニュースから引用参照)。しかしその後に5億年も経ってしまったため、現存する脊椎動物のゲノムにはその痕跡が断片的に見られるのみである。
写真1.桜錦 写真2.頂点眼
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