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【理事長 明石邦彦のつぶやき】人は権力を持つと独走する |
2022/12/9 |
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国家のトップも在任期間が長くなると視点を変えた意見を言う者を批判勢力として粛正しがちだ。批判勢力がいなくなると周りはイエスマンばかりとなり、結果としてトップは独裁者となってしまいがちだ。独裁者は力を誇示したがり、常に国民を支配する気持ちが拡大していく。独裁者はなんでも可能ではないかと自己暗示をかけがちだ。自分のように優れた者には富までもが蓄積されても良いものだと思い込んでしまう。
そのように考えるとプーチンの長きにわたるロシア支配は歴史の中の英雄を目指すことなのだろう。目標がピヨトル大帝やスターリンなら果てしない大陸支配が夢となり、西洋諸国との価値観の違いで、おのずと摩擦を生じることになるのは当然だ。今まで緩衝地帯として位置付けていたウクライナをロシアの領土と考えていたら当然のこととして自分たちの持ち物との考え方になる。ウクライナ侵攻は元のソ連を復活させることだと願っていると侵攻の根拠となるものだ。西側との緩衝材を設けるためという理由もわからないことはない。さて、それが正当性を持つ考え方なのかいささか疑問だけれど・・・。ソ連崩壊の時に決めたウクライナとの国境はどのような考え方で決められたのだろう。ゴルバチョフ、エリツィン時代はどのような考え方で国境は引かれたのだろうか。ウクライナはスターリンによって蹂躙された過去があるので、ようやく独立を確保したという意識は強いと考える。２０１４年クリミヤ半島は突然ロシアに奪われたが、ウクライナとしては西洋の力を借りながら奪われた土地を取り返そうと努力するだろう。最近のヘルソン奪還の記事によると在来の住民の喜びは一入であった。進行してきたウクライナ兵士を大歓迎している画面からその気持ちが痛いほど見てとれた。ここには親ロ派の姿はない。逃亡した人たちのロシアでの生活はどうなるのだろう。また、強制的にロシアに移されたウクライナ人のその後の人生は如何に・・と考えると痛ましい限りだ。侵攻に決着がつくのはまだまだなので、巻き込まれた人のいくすえが思いやられる。
また、中国も全人代で習近平１強の時代に突入した。胡錦涛は裏切られたとして怒り、TVに抵抗する様子が映し出された。これを見ると習近平体制が盤石な一枚岩とは違うようだ。ただ、６人の最高指導部がほぼ習近平の派閥なら今までとはずいぶん違った路線になることだろう。自由度のない世界が生み出されるなら、中国の経済の伸びはストップするのではないかと思われる。コロナ封じ込めで経済の伸びが止まったことから海外からの投資は止まることとなり、１４億を超える民はいかにして生活するのだろう。民の不満を海外に向けることになると周辺国との軋轢で、各地でいさかいが勃発することになる。昔、毛沢東の権限が拡大し、紅衛兵などで世の中が錯乱した文化大革命時代のような時代を迎えるのかと思うとなんだか胸騒ぎするものだ。毛沢東がボケた時の中国はどうなったか考えてみるとそれもおぞましいかぎりだ。江青などの４人組に権力が集中し、大混乱となった過去が思い出される。歴史は繰り返すのだろうか。多様な価値観の存在を許さない限り、苦しむのは人民である。習近平のメンバーたちはどのようにして、自分たちの矛盾に気づきながら中国の方向づけをするのだろう。民生の力を軽んじ、計画経済を推し進めるといつか学んだ道を繰り返すのではないかと思うのだが。そうは言っても歴史は繰り返されるものだ。さしずめゼロコロナ政策ではもたない感じがする。
北朝鮮も独裁という意味では同じようなものだ。今年は食糧事情が悪く、国民が飢えているはずなのに、ミサイルを見境もなく発射している。そんな金（一説だとハッカーで暗号資産を手に入れた）があれば食料確保に回したらどうかと思うが。そんな論理は通用しないようだ。一端ことが起きれば飢えた軍隊では長期には戦えない。実際に米国は踏み込んでは来ないと思うから勇ましく見えるようにファインティングポーズをとっているのだろう。王朝を維持するために、外に向かって派手なパフォーマンスを行い、国民に強さを誇示していると考えると大変な努力だと思う。いつ足元が掬われるような政変が起きても不思議ではない。
世の中にはフェークニュースが多く、どれが正しい話か見まごうこともあるが、いずれにしても未来の世界は独裁者同士の諍いに発展するのではと思ってしまう。私がどれくらい長生きできるかわからないけれど結末を見てみたいものだ。そのためには１００歳までの長寿は必須なのだが・・・。
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